ONCE ダブリンの街角で 出演グレン・ハンサード

ONCE ダブリンの街角で

本日の1本!管理人ソフトポケットのコメント

M softpocket

今日はOnceについて書きますね。この映画はアイルランドのダブリンが舞台。残念ながらダブリンには行ったことがないのですが、アイルランドの音楽やダンスが大好きなこともあり、この映画への愛着はひとしおです。でもこの気持ちをどうやって文字で伝えたらいいのか、今ちょっと困っています。

映画製作中、アイルランド映画局の責任者が不在で予算が組めず、130000€程の製作費で作らなければならなかったとのことで、いかにもアイルランドって感じがしますね。責任者、予算出したくなくって隠れていたんじゃ…。

ところがそんな裏話をよそに、興業は大成功をおさめます。予算なんかたくさんなくても、ビルやら飛行機やらを爆破しなくても、いい映画はとれるんです。主演は、アイルランドのバンド『ザ・フレイムス』のグレン・ハンサードと、チェコ出身のシンガーソングライター、マルケタ・イルグロヴァ。2人の曲『Falling Slowly』は、第80回アカデミー賞歌唱賞を受賞しています。2人は映画作成以前からユニットを組んでおり、結婚歴もあります。息がぴったりの理由はここにあったんですね。

この映画を一言で表すと、『音楽に始まり音楽で終わる』です。恋愛もある、移民問題もある、家族愛もある、アイルランドの貧困問題もある、でもそれを圧倒的に凌駕して、音楽がそこにあるのです。2人の主人公の体全体には、音楽へのDevotion(大切に思い身も心も捧げるきもち)が満ちています。

Once その音楽

ハンサード演じる『男』は、ダブリンの街角でバスキング(ギターを弾いて歌う)をして生活しています。父親はフーバー(フーバー社の製品が掃除機の代名詞となっている。日本でも、食品のフィルムをサランラップとか呼びますよね)の小さな修理店をやっており、そこで同居。英国やアイルランドでは、30代になっても親元で生活している場合、独立するだけの収入を得ていないことを意味します。つまり彼の場合、音楽で成功したいものの、それが実現していない状態ですね。

音楽で何とか身を立てたいと考えるミュージシャンの卵たちは、こんな風にストリートから育っていくのでしょう。彼の歌声に惹かれてギターケースに10セント(10円くらい)コインを入れたのが、イルグロヴァが演じる『女』。彼女もピアノ弾きなので、自然に2人は意気投合。彼女の行きつけの楽器店でピアノとギターの即興演奏を始めます。

古典的なアイリッシュ・ミュージックというのとはまた違った曲調なんです。でもそのスピリットは感じられる。ハンサードは、あの『コミットメンツ』にも出演しているんですが、あの映画ではブルースやってましたね。この作品の方がより彼らしさが出ているような気がします。

徹頭徹尾音楽への思いを描いた映画です。

楽器店の店主、銀行の融資係の人、レコーディングスタジオの人、それぞれが自分自身の『奏でるべき音楽』を持ち、2人の音楽に『何か』を感じて共鳴します。それは小気味いいほどに心に響き、彼らの心の奥底にチラチラと消え残って燃える音楽への思いが、二人の創り出す音楽でふわっと燃え上がるのが見えるようです。ああもう、アイルランドじゃないですか!

Once その愛

この映画では3つの愛が語られています。男の元の彼女への愛。女のチェコに暮らす夫との愛。男と女の愛。

男は昔愛した人が今も忘れられません。男の愛した人は、別に好きな人ができて男のもとを去りました。また、女には夫がいて、夫との間には娘もいますが今は別々に生活しています。男と女は互いに惹かれあいながらも、ついに一緒になることはありませんでした。

男がレコーディングしたCDを手に、ロンドンに旅立つ日、女の元に男から贈られたピアノが届きます。何て切ないのでしょう。こういうことなのでしょうか。私たちは、何百もの仮定から一つを選択しつつ生きていきます。それがベストだと信じるしかありません。タイトルの『Once』は、生涯に一度会えるかどうかわからないほどの確率で出会えた、とても愛しい人自分の分身ともいえる人のことをあらわしているのでしょうか。

男の父親のバイクで、二人はツーリングに。そしてそこで男は女に『旦那を愛しているのか?』はチェコ語で何というのかと尋ねます。それに答えて女が言ったチェコ語の言葉は「あなたをいちばん愛している」。チェコ語なので男はもちろん(映画を見ている人にも)その意味はわからないわけなんですが、なんともつらい設定となっています。

『Once』は、私にとってとても大切な映画です。

評価:★★★★★

製作

監督:ジョン・カーニー
脚本:ジョン・カーニー
製作:マルティナ・ニ―ランド
撮影:ティム・フレミング
製作国:アイルランド
配給:フォックス・サーチライト・ピクチャーズ/ブエナビスタ
上映時間:87分
公開:2007年3月22日

ロケ地

ダブリン

キャスト

男 – グレン・ハンサード
女 – マルケタ・イルグロヴァ
ティミー(ドラマー) – ヒュー・ウォルシュ
リード(ギタリスト) – ゲリー・ヘンドリック
ベーシスト – アラスター・フォーリー
エイモン – ゲオフ・ミノゲ
男の父親 – ビル・ホドネット
女の母親 – ダヌシュ・クトレストヴァ
ヘロイン中毒者 – ダレン・ヒーリー
ビル – マル・ワイト
昔の女 – マルチェラ・プランケット
ボブ – ニーアル・クリアリー

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